同社では、2040-50年に向け、社会環境がめまぐるしく変化していく中で、どのようなまちづくり・都市開発の「理念」を掲げて、不動産開発事業を営むべきかを検討していました。今、東京の都市開発には、特定の開発関係者のエゴや利益だけでなく、様々なヒトの生き方(幸福)を意識した、大義が求められています。
デザインリサーチ、内部ステークホルダー・エキスパートインタビューを通して、人類史上の時代遷移におけるまち/都市の役割を明らかにしながら、未来に向けた同社の役割を定義し、同社の「まちづくり・都市開発理念/哲学」をワークショップを通じ、カタチにしていきました。
土地のDNAやその場に住む人の想い、社会の声を大切にし、そのまちらしい色の光りが幾重にも重なり続けるしくみを常に提供していく。場の「編集者」となって、一人一人が自律的に個性を発揮しながら、社会全体の幸福量が最大化するようなまち・場を「編集」によって生み出していく。この、あたらしくなり続けるまちでは、
個性が光る。
閃きが起こる。
愛着が宿る。
これらを積み重ね、つぎつぎと新しい面を見せながら、長い年月をかけてはじめてまちとして成り立っていく。そのまちらしい文化が生まれていくプロセスを「まちの文化編集モデル」と名付け、同社の理念のベースとしました。
Major Developer |
Vision Design
Client
大手デベロッパー
Role
Strategist
Workshop Facilitation
Design Research
Photography
※BIOTOPE業務委託メンバーとして参画
VISION
そのまちがまとう
”らしさ”をあたらしく。
一人一人のしなやかな「主人公性」が生まれる
ヒトの文明の進化は、一人一人の主人公性の発揮からスタートする。それぞれのヒトが、自分の「好きなこと」や「得意なこと」に自然体で取り組むことができる。誰もが、価値観や感性をさまざまなカタチで素直に表現でき、それを許容されていく。
まちの中に自分の好きを見出し、「愛着と誇り」を持つ
それぞれのヒトが自分なりの「好き」や「得意」を自然体で表現できる場にまちが育っていき、自分自身もその一部に融け込むことで、まちに属する(居る/暮らす/使う)だけで「愛着と誇り」が心に生み出され続ける状態になる。
つどい、交流・対話し、「閃き」が起きる
ヒトは自律的に主人公性を発揮し、異なる個性を持つヒト同士が集まり、刺激し合い、影響を与え合うことで、閃き合い、一人で考える以上の力を生み出すことができる。
場に一人一人の思いが宿り、永々と積み重なり、多様な「文化」となる
ヒトが自然体で生きること、好きや得意を表現し認め合うこと、閃き合うこと、自分の属するまちに愛着と誇りを持つこと、その全てのヒトの “ 生きる”時間 の永々たる積み重ねが、その場に唯一無二のかけがえのない「文化」となり未来への礎になる。

Design Research
内部ステークホルダーの他、人類史/技術史、建築史、都市史、エネルギー、生態学、テクノロジー、モビリティ、ウェルビーイングなど、様々な視点で有識者を選抜し、インタビューを実施。議論すべき都市開発の「意味」の拡張を探りました。
また、注視しているトレンド、これからのデベロッパーのあり方、未来の都市が可能にするヒトの新たな行動(動詞)についてヒントを得るために、様々な属性の都市開発関係者に対するインタビューを実施しました。
ヒトは都市があるからこそ個性を発揮し、社会に結びつけ、文明を前進させられる。
自律的な個性の発揮はヒトの幸福の第一歩であり基盤である。
古代:農耕以前の狩猟採集生活において、ヒトは「助け合う」ことを生存戦略として共同体聚落を形成した。
中世:農耕の発明以降、ヒトは非食料生産者としての都市人を生み出し、それぞれが得意な能力(手工業、芸術、教育等)に特化し、それを「交流し合い」「交換し合う」ことで「支え合い」、都市を発展させてきた。
近現代:産業革命による工業化、情報化、資本主義化により、ヒトは都市を益々発展させてきた。それぞれの個性を最大限発揮できる環境をつくり、それを知として「蓄積」し、繋ぎ合わせ、更にはテクノロジーで「最適化する」環境すらも、都市に作ることで、イノベーションを起こしてきた。
全ての時代を通じ、都市はヒトの「個性発揮の舞台」であり、「文明進化のフロンティア」として機能してきた。これら全ての第一歩は、ヒトにとって「自身の個性を自律的に発揮すること」であり、それはヒトの幸福の基盤でもある。


Philosophy Design
Workshop
デザインリサーチを通じて、人類史上の時代遷移におけるまち・都市の役割を明らかにしながら、自社の過去を振り返り、これからの都市開発で大事にしたい哲学を定めました。
そして、その「都市開発哲学」に基づいて、どんな未来のシーンを作っていきたいのか、手がけるまちの中で、どんな「動詞」を可能にしていきたいのか、レゴシリアスプレイや写真ワークを用いて、約4ヶ月に渡るワークショップで言語化していきました。
ワークショップのテーマ
【第一回】Vision:「過去」と「現在」を認識し「未来」を創造する
【第二回】Mission: 自社の存在意義を認識する
【第三回】Philosophy: 都市開発哲学の中身を考える
【第四回】Story: 都市開発哲学をストーリーとして語る
【第五回】Re: Vision: 都市開発哲学が実現する未来像を具体化する






